映画「パラノーマン ブライス・ホローの謎」

ストーリー

映画「パラノーマン ブライス・ホローの謎」は、アメリカの製作会社・ライカによって作られた2012年の映画です。この映画は、3Dストップモーション・アニメーション映画であり、ホラーとコメディを融合させたストーリーと、手作りのクレイたちが創りだす柔らかな雰囲気のミスマッチが面白い映画となっています。また、キャラクターの顔を3Dカラープリンタを使って作成するという初めての試みが行われた作品でもあり、ストップモーション映画の中でも最先端の技術を行く作品として注目を集めました。声の出演には、ケイシー・アフレック、ジョン・グッドマン、バーナード・ヒル、アナ・ケンドリック、クリストファー・ミンツ=プラッセなど、錚々たるメンバーが揃えられ、パラノーマンの世界を彩っています。

ブライス・ホローの町は、300年前に魔女狩りが行われたという言い伝えのある町で、魔女グッズが売っていたり看板のモチーフに魔女をあしらったりと、街中が魔女だらけ。そんなブライス・ホローに、一人の孤独な少年が住んでいました。彼の名前はノーマン。ゾンビが大好きで部屋のいたるところにゾンビグッズが並べられています。ノーマンにはある特殊な能力がありました。それは死者たちと会話が出来ること。しかしその能力のせいで周りから気持ち悪がられてしまい、家にも学校にも居場所がないのでした。ある日、ノーマンのもとに疎遠になっていたブレンダーガスト叔父さんが現れます。そこで語られたことはノーマンをとても驚かせました。それは、この町には300年前に封印された魔女の魂が眠っていて、その魔女が悪霊を次々に甦らせ、町を滅ぼそうとしていること。そして死者と話すことが出来る人間が代々それを阻止して町を守っており、ブレンダーガスト叔父さんもその一人だというのです。叔父さんは、その役目を次に継ぐのはノーマンだと言い残し、発作を起こしてこの世を去ってしまいます。死んでからも叔父さんは幽霊となってノーマンの前に現れます。ノーマンが魔女を抑える役目を継いでくれなければ、ブライス・ホローの町は滅んでしまうからです。町を守るために立ち上がる決心をしたノーマンを見て、叔父さんは肝心の魔女の謎について何も教えないまま成仏してしまいます。ノーマンは仕方が無く叔父さんに教えられた儀式を行います。しかし、その儀式は不完全だったのか魔女を沈めるどころか7体のゾンビを甦らせることになってしまったのです。このままではゾンビによって町を滅ぼされてしまう・・・。ノーマンは親友のニールと、いじめっこのアルヴィンを巻き込み、魔女の呪いについて調べるため、市役所へと向かいます。古い記録を探れば何か手がかりが見つかるかも知れないと考えた3人でしたが、時すでに遅く、ゾンビたちは町の中心地にまでやってきていました。しかしブライス・ホローの住人達はパニックになるでも逃げ惑うでもなく、手に手に武器を持ってゾンビを倒しにかかったのです。恐れをなしたゾンビたちは市役所へと逃げ込んできます。ゾンビたちと遭遇してしまったノーマンは、彼らから意外な事実を伝えられます。それは300年前に行われた魔女狩りの事実でした。ブライス・ホローにはかつて、ノーマンと同じような能力をもった女の子が住んでいました。彼女はノーマンと同じく、その能力のせいで気味悪がられ、遂に町の人たちは幼い少女を魔女裁判にかけて処刑してしまったのです。7人のゾンビはその時の陪審員で、少女の恨みをかい「永遠に人から迫害される呪い」にかけられていたのでした。300年前のことを反省し、どうにか少女を救ってくれとゾンビ達は懇願します。ノーマンは、自分と同じ境遇の彼女を救うために再び立ち上がることを決意します。

キャスト

  • ノーマン・バブコック・・・コディ・スミット=マクフィー
  • ニール・ドーン・・・タッカー・アルブリジー
  • コートニー・バブコック・・・アナ・ケンドリック
  • ミッチ・ドーン・・・ケイシー・アフレック
  • アルヴィン・・・クリストファー・ミンツ=プラッセ
  • サンドラ・バブコック・・・レスリー・マン
  • ペリー・バブコック・・・ジェフ・ガーリン
  • ノーマンの祖母・・・エレイン・ストリッチ
  • ホプキンス・・・バーナード・ヒル
  • アギー・・・ジョデル・フェルランド
  • ブレンダーガスト叔父さん・・・ジョン・グッドマン
  • フーパー保安官・・・テンペスト・ブレッドソー
  • サルマ・・・ハンナ・ノエス

スタッフ

  • 監督・・・サム・フェル、クリス・バトラー
  • 脚本・・・クリス・バトラー
  • 製作・・・トラヴィス・ナイト、アリアンヌ・サットナー
  • 音楽・・・ジョン・ブライオン
  • 撮影・・・トリスタン・オリバー
  • 編集・・・クリストファー・ミュリー
  • 製作会社・・・ライカ
  • 配給・・・フォーカス・フィーチャーズ、東宝東和

受賞とノミネート

第85回アカデミー賞

  • 長編アニメ映画賞ノミネート

アニー賞

  • アニメ映画賞ノミネート
  • 映画監督賞ノミネート
  • アニメ映画アニメ効果賞ノミネート
  • 長編映画キャラクターアニメーション賞受賞
  • 長編アニメ映画キャラクターデザイン賞受賞
  • 長編アニメ映画プロダクションデザイン賞ノミネート
  • 長編アニメ映画ストーリーボーディング賞ノミネート
  • 長編アニメ映画脚本賞ノミネート

サテライト賞

  • アニメ・ミックスメディア映画賞ノミネート

感想

この映画は全く期待せずに、でも大好きなストップモーション・アニメだから観にいこうかなという不純な動機から鑑賞しました。製作会社のライカは「コララインとボタンの魔女」を手がけた会社です。そのことに気付いたのも映画を見終わった後でした。肝心の作品についてですが、とても素晴らしく、最後はちょっと泣いてしまいました。予告編を見た限りでは、ただ単にいじめられっこの少年が勇気を振り絞ってゾンビや魔女と戦うという、よくある感じの子供向けアニメのように見て取れますが、これはむしろ大人に見てほしい作品でした。人とは少し違う能力を持っていたり、見た目が怖かったりするだけで迫害されてしまうゾンビ達。本当は人を襲ったりしないのに、人間は見た目だけで判断して大人数で彼らを倒しにきます。その姿はゾンビなんかよりも遥かに恐ろしかったです。こういったことは、現実世界でも沢山起こっています。人間は自分と違うものや人をなかなか受け入れられず、それが本当に「悪」かどうかも確かめずに迫害してしまうのです。私もこういう状況になったら、きっとゾンビを倒そうとする群の一人になってしまうと思います。そんな時、みんなが「悪」と言っているからという理由ではなく、自分の目で確かめたことを信じることは中々勇気がいることです。そういった意味でもこの映画は考えさせられる作品でした。また、クレイアニメとしての完成度が非常に高く、ストップモーションで撮影されたとは思えないほどのクオリティでした。その迫力ある映像を見るだけでも楽しいです。一つ一つ丁寧に作られたキャラクターたちの動き、表情がとても魅力的でした。また、彼らの人物像もそれぞれ個性的でよかったです。私が好きなのはノーマンのお姉ちゃんです。最初は凄く嫌な奴でしたが、弟思いのいい姉で、ノーマンの手を取って暴徒と化した住人達に立ち向かう姿には感動しました。その他にも筋肉バカの友達や、太っていることでいじめられている友達など、様々なマイノリティを抱えた登場人物たちがノーマンを支えます。人は一人では生きていけないのだと改めて実感しました。